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木から落ちた猿

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ラーマーヤナに登場するイランとイラク

http://vediccafe.blogspot.in/2013/05/iran-ramayana-connection.html の記事を紹介します。

ラーマーヤナには、ラーマに味方する獣たち(猿・熊など、総称してヴァナラ Vanara という)が、シーター捜索のため、世界各地へ散ったようすが描かれているが、その描写から西方の探索隊がイラン・イラクへ行った(ヴァールミーキの描写がイラン・イラクの地理に基づいている)のではないかという考察。




イランとイラク~ラーマーヤナとの関係


 「ラーマーヤナ」では、アヨーディヤ Ayodhya の王、「神王」シュリ・ラーマ Sri Rama の妃、「女神」シーター Sita が、ランカー(現スリランカ)帝国の王ラーヴァナ Ravana に拉致されたあと、四つの「ヴァナラ vanara * 」の部隊がそれぞれ四つの方角へ探索に派遣される。


 シーターが囚われている場所がまだ分からなかった時点で、捜索隊はまず西方に向けられた。捜索部隊は、ヴァナラの首領であるスグリーヴァ Sugreeva から地図を授けられ、彼らはそれによって「アスタ Asta 」山として知られていた場所を目指す。「アスタ अस्त 」とはサンスクリット語で「日没」を意味し、アスタ山は地上における西の果てである。「ヴァラナ」部隊は地上をくまなく捜索し、シーターを探したのである。


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図1

イラク、スレイマニア Silemania にあるシュリ・ラーマとハヌマーンの古代彫刻。右に古代アッカド碑文が見える。この岩石レリーフはイラン、イラク国境付近のスレイマニア、ホリ・ウ・シェカーン Hori w Shekhan 、ダーバディ・ベルラ Darbadi Belula 山の崖に位置する。紀元前2100年頃



 ヴァールミーキ仙は、「ヴァラナ」たちが西方を目指して進む様を描いている。ラーマーヤナで言及されている場所を特定するのは容易い。そこはシンドゥ、インダス河がアラビア海に注ぐ辺り、今日のカラチ Karachi 付近ということになる。


 「シンドゥ」(सिंधु) は古来、河を意味する名詞であり、ヴァールミーキにおいては、インド西海岸からアラビア海へいたるナルマダ Narmada 河を指す可能性も考えられる。


 続けてヴァールミーキは、シンドゥー河が海に注ぐ場所、インダス河口に言及し、そこには「ヘマギリ Hemagiri 」、つまり「黄金の山」という巨大な山があり、数百の峰と巨木に覆われていると述べている。ヴァールミーキの叙述はナルマダ河とサトプラ Satpura 山脈と西ガーツ ghats 山脈沿岸の地形を示している。この叙述はインダス河がアラビア海に注ぐ場所の地形とは一致していないが、いずれにせよ「ヴァラナ」たちは今や海岸にあり、さらに進んで行く。


 「ヴァラナ」たちは海を進み、獰猛な「ガンダルヴァ Gandharva 」たちの住む、「パーリヤトラ Paariyatra 」という名の水中の山を目指す。その頂は黄金のように輝いているという。シーター探索を急ぐ「ヴァラナ」たちは、「ガンダルヴァ」に係わらないようにして進んだが、ナツメヤシの実を摘み取った。


 パーリヤトラ山を抜け、海中を進み、「ヴァラナ」たちはダイヤモンドのように輝くヴァジラ Vajra 山を越えたと語られる。さらに大陸から四分の一の辺りまで進み、天界の建築家ヴィシュマカルマ Vishmakarma が造った武器スダルシャナ Sudarshana 、「千のスポークを持つ車輪」の意、の上にそびえるチャクラヴァーン Chakravaan 山を後にする。


 チャクラヴァーンとスダルハナ・チャクラの名は、山頂を成している車輪形の巨石(「チャクラ」は円を意味する)の存在を示唆している。このサイトではまだ、ロシアのアルカイム Arkaim とトルコのゴーベクリ・テペ Goebekli Tepe にある車輪型巨石の存在を特定できていない。詳しくはここをクリックしてほしい。


 「ヴァラナ」たちはさらに前進し、ヴァラーハ Varaha 、メガヴァンタ Meghavanta と呼ばれる山を越え、ついにはメール Meru 山にいたる。これらはアラビア海を挟んでイランとイラクにまたがるザグロス Zagros 山脈の峰々を彷彿とさせる。ヴァールミーキもプラグジョティーシャ Pragjotisha という名の都市に言及している。私の仮説では、ラーマーヤナ時代の海面は今日よりも高く、ザグロス山脈の山々も水面下ににあったと考えられる。


 ヴァラーハ山はラーマーヤナにおいて、多くの滝を擁する黄金の山として描かれている。ザグロス山脈もまた、今日多くの滝を持つことで知られている。その最も壮大なものは「ガンジナ・メー GanjinaMeh 」と呼ばれている。この名はサンスクリット語にデコードすることができる。「ガンジナ・メー (गञ्जन-मिह्) とは「素晴らしい霧」を意味するのである。「カンチャン・メー Kanchan-Meh 」は「黄金の霧」を意味する。


 「ヴァラーナ」という名と同根語は、イランでは「クー・エ・ヴァラル Kuh-e-Vararu 」つまりヴァラル Vararu 山である。これはザグロス山脈ではなく、アルボルズ Elburz 山脈に位置し、イランの北部の都市テヘラン Tehran の近くである。ヴァールミーキが言及したのが、今日のクー・エ・ヴァラルと呼ばれる山であるなら、その近くにある「プラグ・ジョティシャの黄金の街」とは、ヴァールミーキが古のテヘラン近郊を描いたものだと言えるだろう。


 テヘランの古代名アヴェスタン Avestan は、「ラグー Raghu (रघु) 」としても知られるシュリ・ラーマの名に由来するのかもしれない。ラーマーヤナでは、プラグジョティシュ Pragjyotish は悪魔「ナラカ Naraka (नरक) 」の住処であったという。実際、イランのブーシェフル Bhushehr 州には「ナラカ」という名の街がある。


 ダマヴァンド Damavand の峰の火山付近の年代的に最も古いとされる名は、ササン朝時代の「ドンバヴァンド donvaband 」である。サンスクリット語で「ダーナヴ Danav 」は「悪魔」を意味するが、ラーマーヤナでは「メガヴァント Meghavant 」と呼ばれている。「ダマヴァンド」や「メガヴァンド」の名を古代との関わりで再度辿って行くことは困難であろう。しかしダマヴァンド山周辺の村には伝説や迷信がたくさんあり、それらは地名に反映されている。ラール Lar 渓谷の上流は温泉の池から小さな谷に水が注いでおり、その間欠泉はディヴ・アシアブ Div Asiab つまり「悪魔のミル」と呼ばれている。


 イランのザグロス山脈は、古代の遊牧民の部族の名にちなんで「サガル・ティアンスSagar-tians 」と呼ばれている。「エスニカ Ethnika 」と題する地誌学書を著したステファヌス・ビザンティヌス Stephanus Byzantinus (6世紀)はカスピ海に「サガルティア Sagartia 」と呼ばれた半島があったことを記している。サガルティア人はサガルティアから南下し、後にザグロス山脈として知られる地域に移ったのだ。サンスクリット語で「サガラ Sagara (सागर) 」は「海」を意味し、サガルティアは「海の」という意味になる。ザグロス山脈はサガルティアン族にザガルティアンス Zagarthian と名付けられたのである。


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図2

ザグロス山脈の黄金の峰。ザグロスは航海民族から「サガラ」と名付けられた。サガラとはサンスクリット語で「海」のことである。


 「ヴァラナ」たちはさらに、峰々に沿って進み、偉大なるメール山の頂きにいたったと語られている。サヴァルニ・メール Savarni Meru の西方に進むと、そこは「アスタ・ギリ」、つまり「日が沈む山」である。「ヴァラナ」たちは、シーター捜索において、アスタ山を越えることはしなかったと語られている。「ヴァラナ」たちは十葉のナツメヤシの木を見つける。それは完全なる金色で、辺りに光を放っていた。そこには素晴らしい演壇があり、「サルヴァーニ・メール」から「アスタ」への旅を讃えるかのようであった。この巨大なナツメヤシは、古代文明において神聖な異議を持っているようである。アッシリアの文化遺物はその見解を指示しているように思える。


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アッシリアの遺物において、神は様式化されたヤシの木と共に表現される。


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様式化されたヤシの木と、アッシリアの女神


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聖なるヤシの木を描いた壁画


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聖なるヤシの木を描いたアッシリアの遺物


 この十葉のナツメヤシについては十分に調べられていない。しかし興味深いことに、ラーマーヤナにおいて、シーターを探して東方に向かった「ヴァラナ」たちは幾つもの海を越え、ウダヤ Udaya 山の近くの山に刻まれた三葉のナツメヤシを見つけている。それは海からも見えたのである。これはペルーの三叉の「パラカス Paracas 」としてアンデス山脈の山に刻まれたものと同種のものであると考えられる。下の写真を見ていただきたい。


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古代パラカス族の三叉の「パラカス」は、ヴァールミーキのラーマーヤナにおける三葉のナツメヤシと同種のものであろう。


* 「ヴァラナ」は一般的には「猿」と訳されるが、シュリ・ラーマの「師団」を指す語である。「ヴァラナ」はここでは「森に住むもの」を指す。


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by gatotkaca | 2014-10-14 12:40 | 影絵・ワヤン | Comments(0)