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木から落ちた猿

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ワヤンとは?その1

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 ワヤンはインドネシアの国民芸能であり、その上演形態は多岐にわたる。われわれ日本ワヤン協会があつかうのは、そのうちの影絵人形芝居であるワヤン・クリ(Wyang Kulit)である。
ワヤンは「2003年には、ユネスコの「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」において傑作の宣言を受けており、世界無形遺産に登録されることが事実上確定していたが、2009年9月の第1回登録で正式に登録された。」(wikipedia)
 ワヤンとは、諸説あるが「影」を意味するbyangの転訛した語であるいわれ、この「影」は事象としての影にとどまらず、人の心の影、心象の陰影を指すとされる。故に、ワヤンを冠する芸能は、その上演形式がさまざまに展開している。木偶人形芝居ワヤン・ゴレ(Wyang Golek)、複数の役者が舞台上で演ずるワヤン・オラン(Wayang Orang)、仮面劇ワヤン・トペン(Wyang Topeng)、板人形を使用する一種のペープサート、ワヤン・クリティク(Wayang Kelitik)、そしてすべてのワヤンの源流であると考えられている絵巻語りワヤン・ベベル(Wyang Beber)等があり、ジャワ島、バリ島、マドゥラ島を中心に分布している。
 ワヤン・クリ(以下単にワヤンと記す。クリ以外のワヤンに言及する場合はワヤン・〜とする)は、クリルと呼ばれるスクリーンに、水牛の皮に精巧な透かし彫りをし、さらに金箔と多彩色を施した人形(これも通常は単にワヤンと呼ばれる)の影を投影して演じられる。人形はクリルの下部にバナナの幹を横たえたグドボ(Gedobok)に刺すことで固定される。グドボは大地の象徴とされ、登場人物が歩く際には、これを地平とする。
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 上演の際の光源は一灯で、ブレンチョン(belencong)と呼ばれる。(かつては椰子油のランプを用いたが、現在では電燈を用いる。バリ島のワヤンは現在も椰子油のランプで上演される)
 ワヤンの上演はダラン(Dalang)と称される一人の人物によって統制される。ダランは上演に際して、人形の操作はもちろん、物語の地語りおよび登場人物の会話を語り、随所に差し挟まれるスロ(suluk)と呼ばれる短い歌唱をし、これらはダランひとりによって行われる。また、彼の背後で上演の伴奏音楽を担当する、ガムラン(Gameran)の楽団(15名程度のガムラン奏者+女性歌手プシンデン Pesindhen 数名からなる)に対してその場その場で楽曲を指定し、テンポの設定も指示する。
 ワヤンの上演はかつては夜8時から9時にはじまり、翌朝4時ころまで夜を徹して行われていたが、現在では縮尺傾向にある。
# by gatotkaca | 2011-06-02 17:11 | 影絵・ワヤン