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木から落ちた猿

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ワヤンとその登場人物〜マハバラタ 第27章

27. ダルモクスモ、誠実なる王は賭けに負けて13年間の挫折を味わう。
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 ユディスティロ Yudistira 〈ユディシュティラ〉が白い血を持った聖なる王であることを認めない人はあるまい。しかしユディスティロが賭博に敗れたため、パンダワは12年間森へ追放され、さらに1年間ウィロト Wirata 国に身を隠した。その間ユディスティロはドゥウィジョカンコ Dwijakangka という偽名を用いた。賭けに負けて13年の間、不浄な人として過ごさなければならなかったパンダワたちの心痛は、言葉に表せないほどのものであった。キ・ダランの『チョンドロ candra 〈比喩〉』だけがそれを表せるのだ。風は吹きすさぶのをやめ、太陽は薄暗くかげる。鳥たちの羽は大いにしなだれる。鹿たちは涙を流しながら低く啼く。かぶと虫たちも羽音をたてる。その嘆きはパンダワの苦しみを見るに耐えぬ人のようである。神々もまた息をひそめるのである。
 賭けの結果がどのようであったかについては『ノー・コメント』である。諺に言う。賭けをする者は誰でも、負けという苦しみを負うのだと。
 数学では『相互排他的事象公理 Law of mutually exclusive event 』の法則が証明されている。これはある事象が起これば、別のある事象は存在しないという法則である。
 たとえば、6面のサイコロで賭けをしたとしよう。各面には1、2、3、4、5、6と番号が記されている。そして3に1,200ルピア〈Rp.、インドネシアの通貨〉、4倍の掛け率で勝ったとすれば、4,800ルピアとなる。勝率=m=1/6で、負けの確率=k=5/6、m+k=1であるからm=1ーkとなる。
 サイコロの目を当てることができれば、m=1/6で4×1,200ルピア=4,800ルピアを得ることができる。一方当てられなければ/負ければk=5/6で1,200ルピアを失う。であるから、期待利益 expected profit =勝率ー敗率、m=(1/6×4×1,200)ー(5/6×1,200)=Rp.800ーRp.1,000=ーRp.200(負)であり、m=勝率はつねに負となる。つまり負けるのである。
 この理論によれば、ギャンブルというものはつねに負ける可能性が大きいということになる。このギャンブルにおける負けの法則は因子Yを式に当てはめることで帳消しにすることができる。因子Yとは幸運、運である。
 ギャンブルには別の確率式もある。サイコロの一定の目が出る確率=w と目の数=pとすると、m=w/pそしてk=1ーm=(1ーW/p)であるから、目を当てられる確率もしくは期待利益/勝率はm=1ーk=(1ーw/p×100%)となる。この計算式をw=1p=6に当てはめると、m=(1ー(1ー1/6)×100%)=16.66%、そして敗率/損失 k=100%ー16.66%=83.43%となる。同じ目が出ることを考慮すれば m=2または m=2.77%、つまり勝率は低いものであることが分かる。
 先の説明から、ギャンブルをする者は(必ず)負けることが分かる。まさしくパンダワは負けたではないか。そしてパンダワのものであったすべての財産、衣服にいたるまでが、陰部を隠す衣を除いてすべてが剥ぎ取られ、獣の皮を身に着けて森で生きることを強いられたのだ。キ・ダランの口を借りれば『urip wanaprasta 〈森に隠れて生きる〉』こととなったのである。
 パンダワの持ち物でクロウォに取り上げられなかったのは、パンダワのプソコ pusaka 〈家宝〉と武器だけだった。パティ・サクニ〈スンクニ〉のずる賢さにビモは憤懣やる方ない様であった。だが審判は下ってしまったのだ。パンダワは敗れ、審判が下り、背くことはできない。方途も無く、公正なるサトリアとして約束を守り、インドロプラストを去り、〈クロウォに〉委ねるしかなかった。そしてデウィ・クンティを、叔父アルヨ・ヨモ・ウィドゥロ Arya Yama Widura に託したのであった。

1976年4月25日 ブアナ・ミング
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by gatotkaca | 2013-05-23 00:27 | 影絵・ワヤン | Comments(0)
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