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木から落ちた猿

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ワヤンとその登場人物〜マハバラタ 第11、12章

読者の考え

11. ロロ・アミスとスティヨワティが何者なのか知りたい

拝啓
 1976年6月13日のブアナ・ミング『ワヤンとその登場人物』「不婚の人ビスモ」を読んで、疑問がわきました。
 50年ほど前にバライ・プスタカ Balai Pustaka で出たロロ・アミスのラコン〈演目〉を思い出して、疑問に思ったのです。そこではロロ・アミスはドゥルガンディニと同一人物でした。スティヨワティは、ラコン『ノロソモ Narasoma 』ではブガワン・バガスパティ Begawan Bagaspati の娘で、ノロソモと結婚します。スティヨワティの別名はプジョワティ Pujawati でした。私はワヤンに詳しいわけではないので、これがどういうことなのか教えて頂きたく存じます。

1976年7月11日 ブアナ・ミング
スナルノ・シスウォラハルジョ Sunarno Siswarahardjo

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12. デウィ・ロロ・アミス、祖父は山、母は魚

 そのありようが混乱しているデウィ・ロロ・アミスとは本当は何者なのか?
 ロロ・アミスの物語は超自然的、象徴的、宗教的要素に満ちている。今回は前に紹介したのとは違うお話をしよう。『ジャワ Djawa 』誌でブディハルジョ Boediharja 氏(大使とは別人)が引用している、ハゼウ Hazeu 博士、ケルン Kern 博士、ジュイン・ボル Juyn Boll 博士らが研究した、クディリ Kediri 王プラブ・ダルマワンサ・テグ・ハナンタ・ウィクラマ Dharmawangsa Teguh Hananta Wikrama (991〜1007年)が作ったアディパルワ Adiparwa のヴァージョンである。
 クル族の血を引くバスパリチャラ Basuparicara という王がいた。彼は苦行により超能力の戦車『アマラジャヤ Amarajaya 』と超能力の護符を恩寵として得た。かくて彼は動物の言葉を話し、理解できるようになったのである。カンチルのお話やソロモン王の物語のように。
 彼の王宮にはスクティマティ Suktimati という名の河が流れていた。大きな河で、水は澄んで冷たく、コラギリ Kolagiri という山に注ぎ込んでいた。コラギリ山はスクティマティ河に恋をした。彼に犯されてしまい、河は流れるのを止めてしまった。この事件で『グドノ・グディニ Gedana-gedini 〈男と女の二人きょうだいのこと〉』が産まれた。男の子はバスプラダ Basuprada 、女の子はギリカ Girika といい、美しい娘であった。何たる不思議!?山と河が結ばれて人間が産まれたのである。
 スクティマティ河が流れなくなったのがコラギリ山のせいだと知って、プラブ・バスパリチャラは激怒した。その山を大地から剥がすと、二人の子どもがいた(ブルドーザーがあるわけではないから、山を削って開発する技術はクディリ時代からあったということになる)。二人の子は王宮に連れられ、王に育てられた。バスプラダは成人して軍司令官となり、デウィ・ギリカは王妃となった。
 王が森の中へ狩りに出掛けた時、極彩色の鳥を見た。その香しい香りが心にふれて、欲望をかきたて、王は美しいギリカの面影を思い出した。妃と抱き合う妄想がわき起こり、王は葉の上に『精液』をこぼしたのであった。シエナ Syena という名の鷹を呼び、王はその『精液 kama 』を妃(ギリカ)のもとへ届けるよう命じた。運悪く、その途中シエナは別の鷹と出くわし、その葉を奪われてしまった。飛び散ったプラブ・バスパリチャラの『精液』はジャムナ河に落ち、それを雌の魚が飲み込んだ。かくてその魚は妊娠したのである。
 その時王はまだ橋を架けていなかったので、ジャムナ河を渡ろうとする人は渡し舟を使わなければならなかった。今ならフェリーといったところであろうか。ジャムナ河で渡し舟と漁師を営んでいるダサバラ Dasabala という者がいた。件の魚は彼に捕らえられた。殺されようとしたとき、その魚は泣きながら身の上を話した。こうしてその魚は二人の子を産んだのであった。一人は立派な男の子で、マツヤパティ Matsyapati (後の日のヴィラータ王)と名付けれられ、女の子の方はララ・アミスまたドゥルガンディニ、またガンダワティ Gandawati 、またマスタガンダ Masutaganda と名付けられた。身体から魚の臭いがしたからである。件の魚は天界の妖精ビダダリに姿を変じ、天界カヤンガンへ帰った。かつて神に呪われた罪が許されたのである。二人の子どもはプラブ・バスパリチャラに伺候した。王は二人がシエナに運ばせた『精液』から生まれたことに気付き、二人を彼の子として認めた。だが〈魚臭の〉病のあるララ・アミスはダサバラのもとへ返された。彼女は父の仕事の代りを努めた。つまりジャムナ河の渡し舟である。
 というわけで、フェリーの女船長はクディリの時代にすでにいたのである。人生とはかくなるもので、人生はラコン〈物語〉である。物語は物語のように物語られる。ドゥルガンディニの物語はクディリの宮廷詩人によって変貌させられ、アビヨソやパンダワといった偉大なサトリアの種となる女の物語となった。人生はきつく見詰められなければならない。現実の人生は犠牲に満ち満ちている。高貴さを目指す道には花々の芳香は無い。重く険しい障害にあふれているのだ。『Jer basuki mawa bea 』。まずは苦しみが、そして後に喜びが。
 アビヨソとは何者か?物語を続けよう。

1976年8月1日 ブアナ・ミング
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by gatotkaca | 2013-05-06 00:54 | 影絵・ワヤン | Comments(0)
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