人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

木から落ちた猿

gatotkaca.exblog.jp

カカウィン・アルジュノ・ウィウォホ その2

ラコン『ミントロゴ』

 スロロヨ Suralaya 〈天界〉で、サン・ヒワン・インドロ Sang Hiyang Hendra が息子たちチトロゴド Citragada 、チトロセノ Citrasena そしてチトロロト Citrarata と、マニマントコ Manimantaka 国のラクササ〈羅刹〉王ニウォトカウォチョ Niwatakawaca の脅威について話している。
 彼にはすでにビダダリのプロボシニ Prabasini を与えたが、彼は満足せず、スプロボ Supraba を要求している。
 サン・ヒワン・ナロド Narada がサン・ヒワン・ギリノト Girinata の勅命を携えて来る。それはサン・ヒワン・インドロに、インドロキロ Hendrakila で苦行中のアルジュノを試すようにとのことであった。
 サン・ヒワン・スロパティ Surapati 〈インドロ〉は七人のビダダリ、スプロボ Supraba、ウィルトモ Wilutama、ワルシキ Warsiki、スレンドロ Surendra、ガガルマヤン Gagarmayang、トゥンジュンビル Tunjungbiru、そしてルンルンムラット Lenglengmulat にアルジュノを誘惑するよう命じる。
 チトロセノには、ニウォトカウォチョの攻撃を迎え撃つよう命じる。
 七人のビダダリたちはインドロキロに到着し、さまざまな方法でバガワン・チプト・ヘニン Bagawan Cipta Hening 、すなわち苦行中のアルジュノを誘惑したが、ブガワン begawan はその信念を変えず、〈誘惑は〉成功しなかった。
 彼女たちはスルルヨへ戻り、サン・ヒワン・インドロは話を聞いた。バトロ Batara 〈神〉自身がアルジュノを試すために、プンディト pendita 〈僧侶〉の姿となって赴いた。
 彼はバガワン・チプト・ヘニンが、武器を持ったまま苦行していることを嘲笑った。バガワン 1) は、答えた。武器は彼の精神集中の妨げとはならない、と。

 1)バガワンは尊称であり、ブガワンは階位である。ゆえに最初のものは現代ジャワ語綴りにより、二つ目はインドネシア語綴りによる。

 かくてプンディトは言った。バガワン・チプト・ヘニンの知識を試そう、と。彼はサン・ヒワン・インドロはその時どこにいるかを尋ねた。
 アルジュノは答える。サン・ヒワンはそのルシ resi (聖人)その人である、と。
 サン・ヒワン・インドロは元の姿に戻り、苦行を続けるアルジュノに訓戒を与える。
 ニウォトカウォチョは、苦行中のアルジュノが超能力を得たとの知らせを聞く。そこで彼は後の日にアルジュノに敗れることを恐れ、ラクササ、ママンムルコ Mamangmurka にそのブガワンを殺すよう命じる。
 ママンムルコは出発し、インドロキロに到着すると、アルジュノの苦行所を破壊し始める。
 プノカワンたち、スマル、ペトル、ガレンはそれを見て、主人に知らせる。
 アルジュノは出て、イノシシに変わったラクササと対峙し、弓で射ると、当たって死ぬ。
 (一説によると、ラクササは豚の姿でやって来る。)
 矢を引き抜こうとすると、とつぜん一人の狩人が現れて、その矢を射たのは自分であると言う。アルジュノは否定し、二人は争う。
 アルジュノは相手の超能力を見て、その狩人がサン・ヒワン・ギリノト Sang Hiyang Girinata 〈ブトロ・グル=シヴァ〉であることに気付く。彼は拝跪し、サン・ヒワン・ギリノトは真実の姿を現し、彼にパソパティ Pasupati の矢を授ける。
 サン・ヒワン・ギリノトはスロロヨに帰る。
 二人のビダダリ、バジロ Bajira 〈雷〉とイロウォノ Herawana 〈風〉がやって来て、アルジュノをスロロヨのサン・ヒワン・インドロのもとへ招く。
 天界に到着すると、バトロ・インドロはトゥンジョモヨ Tenjamaya の宮殿を彼に授け、ニウォトカウォチョ殺害を命じる。
 アルジュノはスプロボと共に出発する。マニマントコに到着し、アルジュノはそのビダダリの耳飾りの中に隠れる。ニウォトカウォチョは、その美しいビダダリを喜びをもって迎え入れる。スプロボは彼に言う。彼が妻となる者を愛するなら、愛の証として、彼の超能力の秘密を明かしてほしい、と。
 ニウォトカウォチョは欲望に目が眩み、その秘密を明かす。彼は不死身であるが、その口蓋だけは別である、と。
 かくてアルジュノは姿を現し、ラクササ王を攻撃する。激しい戦いとなり、戦いは長く続き、アルジュノは自ら死んだように倒れる。
 ニウォトカウォチョは尊大に笑い、敵を嘲笑う。その時、アルジュノはかがみ込み、不意にパソパティの矢を射る。ラクササの口蓋を射抜き、彼は死に至る。
 アルジュノとスプロボはスロロヨへ帰還し、ラクササの殲滅を心から喜ぶバトロ・インドロに伺候する。
 英雄には褒美として、スプロボと六人のビダダリが与えられ、王に推挙され、カリティ Kariti の称号が与えられる。
 ラコン・ミントロゴのあらましはこのようなものである。
 アルジュノがどのように地上へ戻り、アマルト Ngamarta へ帰ったか、それはラコン『パルト・デウォ Parta Dewa 』において語られることとなる。

(つづく)
by gatotkaca | 2012-04-08 16:21 | 影絵・ワヤン
<< カカウィン・アルジュノ・ウィウ... カカウィン・アルジュノ・ウィウ... >>